韓国で初めて冬を過ごした時、私が最も驚いたのは家の床が温かいことでした。外は氷点下なのに、室内では薄着で過ごせるほど。この記事では、韓国のオンドルの仕組み、日本の床暖房やこたつとの違い、私がソウルで実際に体験した冬の暮らしを紹介します。
韓国のオンドルとは?
オンドルとは、床を温め、その熱を室内に伝える韓国の伝統的な暖房文化です。床が温かくなるため、椅子ではなく床に座ったり、布団を敷いて眠ったりする韓国の生活様式とも深く結びついてきました。
伝統的なオンドルは、かまどの熱や煙を床下の通路に通して石の床を温める仕組みでした。現在の韓国の住宅では、ボイラーで温めたお湯を床下の配管に循環させる温水式の床暖房が一般的です。
日本の床暖房にも温水式や電気式があるため、現代のオンドルと暖房の仕組みが大きく異なるわけではありません。違いを感じやすいのは、韓国では床暖房が住宅や床に座る生活と深く結びついていることです。一方、こたつは部屋全体ではなく、主にテーブルの下を局所的に温めます。
オンドル・日本の床暖房・こたつの違い
| 比較項目 | 韓国の現代式オンドル | 日本の床暖房 | こたつ |
|---|---|---|---|
| 温める場所 | 床を通して部屋を温める | 設置された床を温める | テーブルの下を中心に温める |
| 主な仕組み | ボイラーで温めたお湯を床下の配管に循環させる方式が身近 | 温水式と電気式がある | テーブル内部のヒーターを使用 |
| 温かさの範囲 | 設置された部屋の床全体 | 設置された範囲の床 | こたつ布団の内側 |
| 暖まる速さ | 床全体が温まるまで時間がかかることがある | 種類や設置環境によって異なる | 比較的早く温かさを感じやすい |
| 暮らし方 | 床に座る、床に布団を敷く生活とも相性が良い | 椅子やベッド中心の生活でも利用できる | 家族がテーブルの周りに集まりやすい |
| 私が感じた違い | 家の中を裸足で歩いても足元が温かかった | 日本では使用した経験が少なかった | 足元は温かいが、こたつの外は寒く感じた |
※設備や暖房方式は、建物の築年数、住宅の種類、地域、契約内容によって異なります。上記には、私が日本の実家とソウルの住居で実際に感じた違いも含まれています。
真冬の韓国で夫が半袖だった理由

恋愛初期の時、オッパ(夫)とビデオ通話をしていた日のことでした。画面がついた瞬間、私は自分の目を疑いました。確か韓国は氷点下の天気だと聞いていたのに、画面の中のオッパは薄い半袖Tシャツ一枚だけ着ていたからです。
「オッパ、頭おかしくなった? 今韓国何度なの? なんでそんな格好してるの?」
私はモコモコのパジャマの上に分厚いフリースジャケットを着込んで、それだけじゃ足りずに膝掛けまでグルグル巻きにしていたというのに。白い息が出そうな我が家とは違って、オッパはまるでハワイにいる人のように余裕たっぷりに見えました。
夫:「韓国? 今外はマイナス2度くらい? でも家の中は寒くないよ。オンドルのおかげでポカポカだから半袖でも平気だよ。」
私:「嘘! 氷点下なのになんで半袖が着れるの? 暖房費爆弾(請求額が高額になること)食らうんじゃない?」
オッパは笑いながら「韓国の家は床が温かいから空気が冷めにくいんだよ」と説明しましたが、正直その時は信じませんでした。「男が見栄張ってるのかな?」とも思いましたし(笑)。日本の冬は、家の中が外より寒く感じる時が多いですから。だから私はオッパが風邪でも引くんじゃないかと、通話中ずっと小言を言っていた記憶があります。でもそれは私の完全な勘違いであり、韓国の「オンドル」という偉大な発明品を知らずに言った言葉でした。
日本の実家では、こたつの外が寒かった

私が育った日本の実家について少しお話しします。私の地元はソウルほど気温が下がる地域ではありませんでしたが、冬になると家の中の空気や床が冷たく感じられました。実家には床暖房がなかったため、エアコンやヒーター、こたつを使って冬を過ごしていました。
私の実家では、冬の朝に布団から出ることが一仕事でした。部屋の空気が冷たすぎて鼻先が痛くなるほどですから。起きてすぐヒーターやエアコンの暖房をつけますが、暖まるまでに時間がかかりますし、何より空気がとても乾燥します。加湿器をいくらつけても肌が突っ張って喉がイガイガするのはどうしようもありません。
そのため、私にとってこたつは冬を過ごすための大切な暖房器具でした。家族みんながこたつの中に足を入れて、身を寄せ合ってみかんを食べる姿、日本の映画やアニメでよくご覧になりましたよね? それはロマンチックでもありますが、実はこたつの外に出ると寒すぎるので、みんなそこから離れられないという現実的な理由もあります(笑)。足は温かいけど背中は寒い、その微妙な温度差に耐えながら冬を越すのが日本の日常ですから。
ソウルの冬に驚いたロングペディンと氷点下の寒さ

その年の冬、ついに私が韓国を訪問することになりました。 空港のゲートを出た瞬間、顔を殴るような寒風に息が詰まりました。
私:「えっ? 何この天気! 寒すぎる! 空気が痛い!」
夫:「そうだよ、韓国の冬は激辛味だよ。だからみんな海苔巻きみたいな長い服を着てるんだ。」
街を見ると、黒いロングペディンを着ている人がとても多く見えました。ドラマで見る時は「なんでみんなあんなスポーツ選手みたいな服着てるの? ファッション?」と思っていましたが、直接経験してみて分かりました。あれはファッションではなく「生存装備」でした。おしゃれも何も、とりあえず生きなきゃいけませんから。
オッパはガタガタ震えている私を連れて急いでタクシーを捕まえました。
「来るの大変だったね。早く家に帰ろう。行けば温かいから。」 私は心の中で思いました。
『家に帰っても、ヒーターつけて暖まるまでかなりかかるだろうな…早く布団の中に入りたい。』
韓国のオンドルを初めて体験した瞬間

玄関のドアを開けて家に入った瞬間、私は立ち止まりました。 ポカポカした空気が私を包み込んだからです。ヒーター特有の息苦しくて乾燥した風ではなく、床からほのかに上がってくる重厚な温もりでした。
私:「えっ? オッパ! 家がなんでこんなに暑いの? 何事? 暖房どんだけつけたの?」
夫:「みみちゃんが来るからちょっと強めにつけておいたよ。これが韓国のオンドルだよ。」
オッパは笑って私の分厚いコートを受け取ってくれました。私はコートを脱ぎ、中に着ていたカーディガンを脱ぎ、結局タートルネックのニットまで脱がなければならないほど暑さを感じました。外はシベリアなのに、家の中はチムジルバンだなんて!
一番衝撃的だったのは、靴下を脱いで床を踏んだ時でした。冷たいフローリングを予想して足を踏み出したのに、足の裏に伝わるあのポカポカした感触!
私:「うわぁ…床が温かい! 本当に温かい! 魔法みたい!」
私は床に座り込んで、手のひらで床を触ってみました。温かかったです。お尻も温かかったです。
夫:「今の韓国の家では、ボイラーで温めたお湯が床下の配管を循環して、床から部屋を温める方式が多いんだよ。」
オッパの説明を聞きながら、私は床に大の字に寝転がってしまいました。背中全体に伝わる熱気が、旅の疲れを一瞬で溶かしてくれたからです。
『あぁ、オッパが半袖を着ていたのは見栄じゃなかったんだ。これなら室内で薄着でも過ごせるんだ。』
その時やっと、オッパのビデオ通話の中の姿が完全に理解できました。
日本の実家に戻って初めて気づいたオンドルの快適さ
韓国での夢のような数日間を過ごして日本の家に戻った時、私は生まれて初めて自分の家が寒いと感じました。
玄関を開けた瞬間に感じるあのひんやりとした冷気。床は氷のように冷たく、ヒーターをつけても顔だけ熱くて足先は相変わらず冷たいままでした。
「あぁ…寒すぎる。韓国行きたい。オンドルが恋しい。」
オッパと電話するたびに、私自身も気づかないうちに愚痴をこぼすようになりました。以前は当たり前だと思っていたモコモコ靴下とファーのスリッパが、今では不便に感じられました。韓国では裸足で歩いても足が温かかったのに…。人間って本当に現金ですよね? 快適さを一度味わってしまうと、以前の生活に戻るのがとても辛いんです。
オッパが私の日本の実家に遊びに来るたびに、「室内も思ったより寒く感じる」と言ってと言って分厚いパジャマと温熱パッドをこれでもかと持って来ていた理由が、今になって骨身に沁みて分かりました。
韓国で暮らす日本人妻の冬越し:「お姉ちゃん、これ見て!」
現在、私は韓国でオッパと一緒に暮らしています。そして冬になると、私は誰よりも熱烈な「オンドル礼賛論者」になります。最初は不思議がっていたこのシステムが、今では私の人生になくてはならない必需品になったからです。
数日前、日本にいる実の姉とビデオ通話をしました。 「そっち寒くない? 韓国すごく寒いんでしょ?」 心配する姉に、私は見せつけるように薄い部屋着姿を見せました。
私:「お姉ちゃん、見て! 私今薄着してるよ。韓国の家はマジでヤバいよ。床が温かいから冬でもこんな格好で生きていけるの。ここでみかん剥いて食べると、背中あったかくてお腹いっぱいで最高だよ!」
姉 : 「本当に? 嘘でしょ! 寒くないの?」
私:「うん! オンドルシステム、本当に良いよ。お姉ちゃんも今度冬に絶対おいで。新世界を見せてあげる。」
画面の中の姉は厚着をしてこたつに入っているのに、私は半袖姿でアイスクリームを食べながら自慢を並べ立てました。以前の私とオッパの姿が逆転したわけです(笑)。
お互いの温度を合わせていく私たち
韓国と日本、飛行機で2時間あれば着く近い国ですが、住居文化はこんなにも違います。日本のこたつ文化が家族を一箇所に集める可愛らしい魅力があるなら、韓国のオンドル文化は家の中どこでも自由で温かく過ごせる快適さを与えてくれます。
私はオッパのおかげで「寒さのない冬」という贅沢を享受できるようになりました。仕事が終わって帰ってきた時、あらかじめボイラーをつけておいて「おかえり、外寒かったでしょ?」と迎えてくれるオッパと、足を踏み入れた瞬間に緊張が解ける温かい床。この二つの温もりが、私を韓国生活により深く根を下ろさせてくれる気がします。
たまにオッパは冗談っぽく言います。
夫:「お前もう日本に帰って住めないね? オンドルないから。」
私:「うん、そうだよ。責任取ってよ。私を一生温かくしてくれなきゃダメだよ。」
私は今、自信を持って言えます。韓国の冬は寒いけど、韓国の家は、そして私の夫の心は世界で一番温かいと。 もし海外から来た配偶者と新しい生活を始める方がいたら、相手が室内の温度をどう感じているのか、一度ゆっくり聞いてみてください。その温もりが、慣れない土地に来た配偶者の不安な心まで溶かしてくれるはずですから。
今日も私は熱い床に背中を当てながら思います。
『あぁ、幸せ。布団の外も、もう危険じゃないよ。』
オンドルを使う前に知っておきたいこと
- 床が温まるまで時間がかかる場合があるため、短時間で何度も電源を切り替えない
- 室温だけでなく、床の温度や体感に合わせて設定する
- 暑すぎると感じたら、設定温度を下げて換気する
- 暖房費は住宅の断熱性能、設定温度、使用時間、契約条件によって異なる
- 操作方法が分からない場合は、管理会社や宿泊施設に確認する
この記事は、私がソウルの住居でオンドルを体験した際の個人的な感想をまとめたものです。設備や使用方法は住宅によって異なるため、実際の操作については建物の管理会社や宿泊施設へご確認ください。
参考:
情報確認日:2026年7月24日
📚 mimichanの日韓夫婦シリーズ
前回は、韓国でクラクションをよく聞く理由と、私がソウルの車内で驚いた体験を紹介しました。
▶ 韓国はなぜクラクションが多い?日本人妻がソウルで驚いた運転文化(Ep.08)
次のエピソードでは、韓国のスーパーで買い物をする時に感じた、せっかちな夫と慎重な妻の違いを紹介します。
▶ 韓国のスーパーで感じた買い物の違い|せっかちな夫と慎重な妻(Ep.10)